競走馬の距離適性について

競走馬の距離適性への考え方について、最近思うところがあるので一度整理したいと思います。

尚、予めお断りしておきますが今から述べる内容には、一部の予想方法を利用されている方に不快な内容が含まれている場合があります。
ご了承ください。

あくまでも個人的な考え方をまとめたものであり、他の方の予想方法を否定するものでありません。


最近距離適性を疑われている馬の重賞での活躍が多い。
今週末のユニコーンSでも1番人気が予想されるサウンドリアーナは距離が持つのだろうかと興味を集めている。


ラップ分析を行うようになって、この「距離適性」という言葉にかなり疑問を持つようになった。

安田記念の日記でも述べた通り、個人的には東京1600mは中距離を走るスタミナが必要という格言は古いと考えている。

昔の東京芝1600mで中距離馬がよく活躍したのは、東京の長い直線を乗り切るために、中盤で一旦溜めて最後の直線勝負に賭けていた。これが結果的に他の1600mのコースより中距離馬の追走を楽にし、好走しやすい下地を作っていた。但し、最近はスピード化が進み、東京1600mも前傾ラップのレースが増えてきたことにより、短距離馬の好走しやすい下地ができつつあるという考えである。


◆馬にとっての200m延長とは
競走馬にとって200mの延長と言うものはそれ程競争能力に影響を与えるものなのだろうか。
馬の1完歩は約7m程らしい。つまり200mは28.5歩程度になる。

人間のアスリートは100mを約50歩程度で走り抜けるそうである。

となると、馬の200mは人間が約57m余計に走ることと同等になる。
一人のアスリートが100m走る能力と157m走る能力でそれほど差が出るのだろうか。


◆根幹距離と非根幹距離
競馬用語に「根幹距離」「非根幹距離」という言葉がある。
私自身はこの言葉に対しては懐疑派である。
1400m→1600mの距離延長の際に、「非根幹距離から根幹距離への延長だから~」というまるで距離以上の高い壁があるかの如く語るのには「う~ん。」と首を傾げざる負えない。



ある予想方法では、根幹距離が得意な馬は集中力があり、非根幹距離が得意な馬は集中力が無いと判断するものもあるらしい。


そもそも1mという長さは人間が勝手に決めた長さである。
それが偶然にも200m単位で根幹距離と非根幹距離という集中力が入れ替わる距離になるという考え方には甚だ疑問がある。


たまたま、競馬の始まった欧州で、1600mと2000mと2400mに格と賞金の高いレースがあったことから、この距離を得意とする競走馬が重視されており、日本の競馬も同じ流れを受けている。

距離体系でいくと、G1は1600m、2000m、2400mに集中し、そのトライアルは1400m、1800m等が多い。
私自身は単に
トライアル:
・強い馬は本気の仕上げでは無い
・斤量も別定やハンデ戦で重い
・ペースも緩みがちで展開の影響を受けやすい
から負ける馬がいて

G1レース:
・仕上げはバッチリ
・斤量は同一
・強い馬が集まるので底力を試される展開になりやすい

の理由から、トライアルで負けたG1クラスの馬が(いわゆる)根幹距離のG1で巻き返すことから、東京の1600mの格言の様に後付けで誰かが考えた「根幹距離」の概念が独り歩きしているものだと思っている。

もし、欧州で(たまたま)1400mや1800mがG1の距離であれば、1400mや1800mを走る馬は集中力があり、1200mや1600mを走る馬は集中力が無いという予想理論が確率されていたかもしれない。


◆有酸素運動と無酸素運動
最近ある方に、次のサイト(JRA発行のPDF冊子)をご紹介いただいた。
鍛えよう愛馬の有酸素能力
このサイトの4頁に競走馬の有酸素運動と無酸素運動と距離の関係について語られている。

このPDFを見ても、単純に距離が短いほど無酸素運動の割合が多く、距離が延びるほど有酸素運動の割合が増えていく。

決して1200m、1600m、2000m、2400mは根幹距離だから無酸素運動の割合が多いなどとは書かれていない。(当たり前ですが)


◆距離では無くペース(ラップの内容)が大事
ラップ分析をしている方なら、東京1400mの平均的なラップと阪神1400mの平均的なラップが全く違う事を御存じだと思う。当然、必要な適性も全く違う。
また、同じ東京1800mでもスローペースとハイペースではラップが全く違い、求められる適性も全く違う。

上り坂のあるコースもあれば、直線の長いコース、下り坂のコースもある。


これらをひとくくりにして「根幹距離」「非根幹距離」と表現するのは無理があると思う。
距離に関係なくペースやラップで底力が問われるケースもあれば、そうではないケースもある。


ここでひとつ面白いデータをご紹介する。

ユニコーンSを予想をするにあたって、東京D1600mのペースと前走距離の関係を調べてみた。

2007年以降の3歳以上1000万東京D1600の上り3Fの平均は36.5秒であった。

次に、上り3Fの速いケース(スローペース)と遅いケース(ハイペース)で、前走距離別の成績を調べてみた。

まず、上りの速い(スローペースの)レースの場合

<上り3F:36.4以下>
◆前走距離別集計
集計期間:2007.11. 4 ~ 2012.11. 4
-----------------------------------------------------------------------------
前走距離 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回値 複回値
-----------------------------------------------------------------------------
1200m 0- 0- 0- 0- 1- 2/ 3 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
1300m 0- 0- 0- 0- 0- 3/ 3 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
1400m 1- 0- 1- 0- 1- 7/ 10 10.0% 10.0% 20.0% 15 35
1500m 0- 0- 0- 0- 1- 0/ 1 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
1600m 4- 5- 4- 4- 2- 37/ 56 7.1% 16.1% 23.2% 25 64
1700m 0- 0- 0- 1- 2- 15/ 18 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
1800m 4- 3- 4- 4- 2- 18/ 35 11.4% 20.0% 31.4% 61 198
1900m 0- 1- 0- 0- 0- 0/ 1 0.0% 100.0% 100.0% 0 310
2000m 0- 0- 0- 0- 0- 4/ 4 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
2100m 0- 0- 0- 0- 0- 3/ 3 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
-----------------------------------------------------------------------------

ご覧の通り、前走1600m以下からは殆ど好走馬が出ていない。


次に上りが遅かった(ハイペースの)ケース
<上り3F:36.6以上>
◆前走距離別集計
集計期間:2007.10.14 ~ 2012.11.25
-----------------------------------------------------------------------------
前走距離 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回値 複回値
-----------------------------------------------------------------------------
1200m 0- 0- 0- 0- 0- 8/ 8 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
1300m 2- 0- 0- 1- 1- 3/ 7 28.6% 28.6% 28.6% 227 82
1400m 1- 3- 1- 3- 1- 22/ 31 3.2% 12.9% 16.1% 14 57
1500m 0- 0- 0- 0- 0- 0/ 0
1600m 4- 4- 7- 4- 5- 43/ 67 6.0% 11.9% 22.4% 40 51
1700m 2- 6- 2- 4- 1- 29/ 44 4.5% 18.2% 22.7% 61 166
1800m 7- 3- 6- 3- 6- 48/ 73 9.6% 13.7% 21.9% 66 51
1900m 0- 0- 0- 0- 0- 0/ 0
2000m 0- 0- 0- 0- 0- 4/ 4 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
2100m 0- 0- 0- 1- 2- 5/ 8 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
-----------------------------------------------------------------------------
明らかに上りの速いケースより、前走距離の短い馬が好走している。


これが何を意味するかというと、
200m程度の距離延長の適性が「スタミナ」というファクターでもし縛られるものであるならば、
”(ハイペースでよりスタミナを消費した)上りの遅いレースで前走距離の長い馬が好走するはず”
となる事になるが

結果は見事に全く逆であり、上りの遅い方が短距離路線の馬が好走している。
※ダート戦なので、芝より更にスタミナを消費するはず。


つまりは、安田記念の時に述べた仮説
「(短距離戦に似た)前傾ラップの場合、短距離馬が好走しやすく」
「(追走の楽な)後傾ラップの場合、中距離馬が好走しやすい」
というのを裏付けていないだろうか。



言い換えると1400m→1600m程度の距離延長では、スタミナ等は考慮する必要はなく、最も重要視すべきはペースであると考える。


普段から1400mまでしか走っていないから1600mの距離は持つのだろうかという考え方は誤りで
・予想するレースのペース(後継ラップ?前傾ラップ?)はどうなるのか
・狙っている馬は前傾ラップのレースが得意なのか、後傾ラップのレースが得意なのか
で判断する方が大事なのではないか。




最後に少しフォローをするならば、私は「根幹距離」「非根幹距離」を使った予想理論を全面的に否定するものではなく、「距離短縮ショック」(でしたっけ?)や「距離延長ショック」等と言われる効果は確かに存在すると思っている。

但し、それは距離の変更がその馬の能力を発揮しやすいペースや展開になったからだと判断するが。


ついでにいうと、「JRAの陰謀」とか「勝ち馬は決まっている」「この枠順はJRAが社台を勝たせようとしている」と言った類のものは100%バカバカしいと思っている(笑)

なので、私のブログにこの類のコメントはいりませんw
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やっぱ

先生が書くことは面白いです。
「ためになる」って意味の面白いですよ。

何の根拠もなく印や買い目をブログや
ブログランキングに載せる馬鹿共とは違いますね。

さすがです

Re: やっぱ

若輩者さん

お褒めの言葉ありがとうございます。


しかしあまり汚い言葉は使わない方が・・・。(汗

若輩者さんへ

買い目をブログに載せるのは自由でしょうから、それを馬鹿呼ばわりはどうかと思いますよ。当たっている人もいますし、そのノウハウはあえて載せてない人もいる。あなたが、説得力のあるブログを書いているならともかく、馬鹿にする資格はないと思いますが。

先生とフランス様

汚い言葉、失礼しました。
以後、気をつけます。

私が○○○と言っている人達は
悪徳競馬情報会社のことです。

ランキング上位にいますよね。

まぁ…無視しておけば良いだけのことですが
あまりにも先生の競馬スタイルが素晴らしいので
そんな人達を○○○と呼んでしまったのです。

いずれにせよ、不適切な発言でした。

重ねてお詫び申し上げます。
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2017年2月以降の記事から月額の有料記事になりました。
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