第61回宝塚記念(8枠の好走率が高い理由)
正直に申し上げれば、これは説明しないことも考えていたんですが
応用範囲が狭い(たぶん宝塚と3月の中京くらい)ことと
これを説明しないと、最終予想の説明が難しいと判断したからです。
やはり印の根拠の無い予想はしたくないので
まず、確認で過去10年の宝塚記念の枠順別成績を見てみます。
◆枠番別集計
集計期間:2010. 6.27 ~ 2019. 6.23
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枠番 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回値 複回値
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1枠 1- 1- 4- 1- 0- 9/ 16 6.3% 12.5% 37.5% 85 201
2枠 1- 1- 2- 0- 5- 7/ 16 6.3% 12.5% 25.0% 81 78
3枠 0- 1- 1- 1- 0- 13/ 16 0.0% 6.3% 12.5% 0 91
4枠 0- 4- 0- 3- 2- 7/ 16 0.0% 25.0% 25.0% 0 48
5枠 0- 2- 0- 2- 0- 14/ 18 0.0% 11.1% 11.1% 0 51
6枠 1- 0- 0- 1- 3- 15/ 20 5.0% 5.0% 5.0% 16 9
7枠 0- 1- 1- 1- 0- 17/ 20 0.0% 5.0% 10.0% 0 50
8枠 7- 0- 2- 1- 0- 12/ 22 31.8% 31.8% 40.9% 441 130
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よく見ると、8枠だけではなく、1枠2枠も良いことがわかります。
馬番別成績を見てみると
◆馬番別集計
集計期間:2010. 6.27 ~ 2019. 6.23
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馬番 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回値 複回値
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1番 0- 1- 1- 1- 0- 7/ 10 0.0% 10.0% 20.0% 0 177
2番 1- 1- 3- 0- 2- 3/ 10 10.0% 20.0% 50.0% 136 201
3番 0- 0- 2- 1- 2- 5/ 10 0.0% 0.0% 20.0% 0 97
4番 1- 1- 1- 2- 1- 4/ 10 10.0% 20.0% 30.0% 131 92
5番 0- 1- 0- 0- 0- 9/ 10 0.0% 10.0% 10.0% 0 81
6番 0- 1- 0- 1- 1- 7/ 10 0.0% 10.0% 10.0% 0 64
7番 0- 1- 0- 1- 1- 7/ 10 0.0% 10.0% 10.0% 0 17
8番 0- 2- 1- 0- 2- 5/ 10 0.0% 20.0% 30.0% 0 69
9番 0- 1- 0- 1- 0- 8/ 10 0.0% 10.0% 10.0% 0 11
10番 1- 0- 0- 1- 0- 8/ 10 10.0% 10.0% 10.0% 29 14
11番 3- 0- 2- 0- 1- 4/ 10 30.0% 30.0% 50.0% 149 121
12番 1- 0- 0- 0- 0- 7/ 8 12.5% 12.5% 12.5% 67 22
13番 0- 1- 0- 0- 0- 5/ 6 0.0% 16.7% 16.7% 0 91
14番 0- 0- 0- 1- 0- 5/ 6 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
15番 0- 0- 0- 0- 0- 5/ 5 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
16番 2- 0- 0- 0- 0- 4/ 6 33.3% 33.3% 33.3% 655 136
17番 1- 0- 0- 0- 0- 1/ 2 50.0% 50.0% 50.0% 1890 355
18番 0- 0- 0- 1- 0- 0/ 1 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
他 0- 0- 0- 0- 0- 0/ 0
偶数 6- 5- 5- 6- 6- 43/ 71 8.5% 15.5% 22.5% 104 76
奇数 4- 5- 5- 4- 4- 51/ 73 5.5% 12.3% 19.2% 72 86
大外 3- 0- 1- 1- 0- 5/ 10 30.0% 30.0% 40.0% 286 125
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これを見て、8枠が良いのではなくて、馬番の⑪番が良いだけじゃないのという方もいるかもしれませんが
一番下の「大外」をご覧ください。
過去10年で11頭立てが2回12頭立てが2回あります。
大外枠だから好成績なんです。
この理由を説明したいと思います。
その為には、宝塚記念というレースの特性を知る必要があります。
このデータは御存じでしょうか。
過去10年の宝塚記念の上り順位別成績です。
◆脚質上り別集計
集計期間:2010. 6.27 ~ 2019. 6.23
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脚質上り 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回値 複回値
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3F 1位 6- 5- 0- 0- 0- 0/ 11 54.5% 100.0% 100.0% 554 348
3F 2位 2- 0- 3- 3- 0- 5/ 13 15.4% 15.4% 38.5% 293 106
3F 3位 1- 2- 1- 2- 0- 2/ 8 12.5% 37.5% 50.0% 170 125
3F ~5位 1- 2- 4- 4- 3- 9/ 23 4.3% 13.0% 30.4% 61 177
3F 6位~ 0- 1- 2- 1- 7- 78/ 89 0.0% 1.1% 3.4% 0 15
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上り1位の馬の成績が良いレースというのは良くありますが
連対率100%のレースは他に見た事ありません。
実はこのデータ(特徴)が8枠の好走率が高いことと大きく関係してきます。
次のデータをご覧ください。
これは4つの主要古馬G1の上り1位の馬の4角の位置取りをまとめたものです。
1つのレースで複数の馬が上り1位を記録していたら、全部記入してます。(着順関係なし)

一目で宝塚記念の上り1位の馬の位置取りが前目である事がわかりますよね。
頭数が少ないと、全体的に位置取りも前になりがちになるので、一番下に頭数の平均も入れますが
最も頭数が少ない大阪杯と比較してもかなり前目の馬が上り1位を記録しているのがわかります。
そして天皇賞秋でぽついんと4角2番手で上り1位の馬がいますよね。
これキタサンブラックで、不良馬場行われた天皇賞秋です。
不良馬場だと前の馬が上り1位を記録しているんです。
何となく言わんとしていることがおわかりだと思いますが
宝塚記念も上りのかかるレースです。
普通は後方で脚を溜めて、爆発させる馬が上り1位を記録します。
しかし宝塚記念の様に、道中もペースが緩まず、脚を溜めることが難しいレースは
そういう上りのかかるレースでは(速い脚ではなく)バテ無しい脚を使える馬が、上りが速くなるんだと思います。
基本的に、ジリ脚の馬は前目の位置で粘りこみを図り、切れる脚を使える馬は後方で脚を溜めますが
宝塚記念は、じり脚の馬向きのレースと言えるでしょう。
なので、前目の馬が(結果的に)速い上りを使うケースが増えます。
前目の馬が速い脚を使うので、そりゃ好成績になるのも当然です。
もう一つ宝塚記念には大きな特徴があります。
以下は、過去6年分の最後の直線の画像です。



実は宝塚記念は、毎年最後の直線で同じ光景が繰り返されてます。
先行して内で粘る馬を、外から上り1位で伸びてきた馬が差し切る。
大抵の場合、内で粘る先行馬は内枠の馬で、外から差して伸びてくる馬は8枠の馬です。
youtubeなどで過去の宝塚記念のレース動画見てもらえば、私の言っていることがわかると思います。
どうして、こうなるのか。
先ほども申し上げたように、宝塚記念はバテ無い馬が優勢なレースです。
脚質別成績を見ても
◆脚質上り別集計
集計期間:2010. 6.27 ~ 2019. 6.23
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脚質上り 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回値 複回値
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平地・逃げ 0- 1- 2- 0- 0- 7/ 10 0.0% 10.0% 30.0% 0 111
平地・先行 6- 4- 3- 5- 2- 19/ 39 15.4% 25.6% 33.3% 133 93
平地・中団 3- 1- 3- 4- 8- 30/ 49 6.1% 8.2% 14.3% 146 86
平地・後方 1- 4- 2- 1- 0- 38/ 46 2.2% 10.9% 15.2% 6 59
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前目につけた馬が好成績です。
上りは遅いのに、前目につけた馬が有利
これがポイントです。
宝塚記念の行われる阪神芝2200mというコースは、スタート地点が4コーナーの近くです。

ゴール番のある緒戦をほぼ丸ごと使って、最初の1コーナーを迎えます。
その長さは525mです。
スタート後の直線が長いと、ラップタイムが速くなる事は何度も申し上げてきました。
これが宝塚記念が厳しいペースになる一因でもあるのですが
もう一つ競走馬への影響があります。
それは競走馬の位置取りです。
2019年リスグラシューはそれまで中団からやや後方の位置取りだったのが、宝塚記念で突如2番手の競馬をしています。
わかりやすい例でいうとゴールドシップです。後方待機のイメージがあると思いますが、宝塚記念に出走した3年のうち2年は4番手です。最後の1年はスタートで煽ってめちゃくちゃ出遅れました。
他にも似た例を探すと沢山あります。
ここから推測ですが、リスグラシューやゴールドシップは、低速ギアが弱い(無い?)んだと思います。
なので、スピードになるのに時間がかかる。
普通のコースはスピードに乗る前に最初のコーナーが来てしまうので、そこでまた減速して結局位置取りが後ろになる。
ところがスタート後の直線が長いコースだと、十分に加速する時間が取れるので前目の位置を確保できてしまうんだと思います。
同じようにスタートの直線の長いコースに京都芝2400mがあります。
ゴールドシップは京都大賞典で3番手でレースをしています。
リスグラシューも4番手以内でレースをしたのは、宝塚記念と阪神1800mの未勝利戦だけですね。
阪神芝1800mもスタート後の直線が長いです。
また、こういうスピードに乗るまで時間のかかるタイプの馬は、一旦スピードにのると持続力に優れている(燃費が良い)特性があります。
これらを踏まえてもう一度、宝塚記念の枠順の優劣を考えてみます。
基本的には後方一気は決まりにくく、先行して内で粘る馬と、中団より前目で外から差してくる馬で決着します。
1枠2枠の馬は、内で先行しやすいので好走率が高くなります。
8枠の馬は、長い直線を利用して先行もできますし、中団待機もできます。
真ん中の枠は、外からかぶされて来るので、先行もしにくいですし、かと言って後方待機をしたら届きません。
ここでもう一つ興味深いデータをお示しします。
先ほどの宝塚記念の上り1位の馬の4角位置別の頭数ですが
8枠の馬に絞って見てみると

何と4角6番手以内から上り1位の脚を使った馬は、全て8枠の馬です。
最後の直線で全馬脚が上がる状態でスムーズに差してくるには、前に馬がいない方がいいです。
宝塚記念では馬群を割って差してくるのは極めて困難です。
さて、8枠に入った本命予定のブラストワンピースですが、初角4番手以内だったレースが2回あります。
中山芝2200mのAJCC(4角がスタート地点で直線が長い)と阪神芝1800mの毎日杯(2角ポケットからの直線が長いスタート)です。
恐らく、ブラストワンピースもエンジンのかかりの遅い、リスグラシューやゴールドシップタイプです。
最後にもう一つ紹介しておきます。
スタートの直線が長く、コーナーを4回回り、最後の直線にきつい登り差があるコースがもう1つあります。
中京芝2200mです。
このコースも上級クラスのレースが少ないのですが、3月に3勝クラスのレースが今まで5回行われてます。
そのレースの枠順別成績がこちら

上り順位別成績がこちら

恐らく、阪神芝2200mよりも差し馬有利なコースだと思いますが、かなり似てませんかね?
これで来年の中京芝2000m名古屋城Sは的中したも同然ですね。
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